京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院
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2次健診で行う胃カメラ・大腸カメラについて

2011年12月17日

職場の健診や人間ドックを受けられたとき、
異常を指摘される方も多いと思います。

ただその異常がどれだけの意味を持つかって、
一般の方が判断するのは困難だと思います。

簡単に言えば、
ちょっと心配なのか、大きく心配なのか、
追加の検査を、急いで受けた方がいいのか、
年明けでもいいのか
・・・などです。

多くの健診センターでは、
結果の用紙にABCDEなどの判定とともに、
・・・に注意しましょう、検査を受けてくださいと書いてありますが、
十分な説明がされてないことも多いです。

少しでも分からないことがあれば放置せず、
かかりつけの医師と相談しましょう。
遠慮は要りません。
分かるまで説明を受け、次はいつ、どのようにするのか、
かかりつけ医と作戦をたてましょう。

ここから、胃がん、大腸がんの検診について
ご説明いたします。

まず、胃がん健診には大きく以下のものがあります。

① 胃透視検査 (バリウムによるレントゲン検査)
② 胃カメラ検査
③ ペプシノゲン検査 (血液検査)
④ ヘリコバクターピロリ抗体検査 (血液検査)
⑤ 腫瘍マーカー (血液検査)

①は健診では最も一般的に行われています。
バリウムを飲み、胃の壁をさまざまな角度から
レントゲン撮影し、異常を見つけます。

ポリープや慢性胃炎、潰瘍、胃がんなどが分かりますが、
小さい病変を拾い上げるのは困難です。
もし異常を指摘されたら、必ず胃カメラを受けましょう。

②の胃カメラは健診でもずいぶんされるようになりました。
今は直接カメラで見るのが確実と考えられています。
カメラで異常があれば、必要であれば治療に入ります。

③ペプシノーゲン検査は、最近その有用性につき
注目度が高まっている検査です。
初めて聞かれる方も多いと思います。

ペプシノーゲンとは胃液中に分泌される蛋白分解酵素ペプシンの前駆体で
ペプシノーゲンⅠ(PGⅠ)とペプシノーゲンⅡ(PGⅡ)に大別されます。

ピロリ菌などの影響で、胃粘膜の萎縮が起こると、
PGⅠの量やPGⅠとPGⅡの比率が減少します。

胃粘膜の萎縮が高度になると、分化型胃がんの発生率が
上昇することが知られています。

つまり、PGⅠ値、PGⅠ/Ⅱ比の低下により、
胃がんの発生率の高い萎縮性胃炎の拾い上げを行い、
胃カメラ検査に持ち込もうとするものです。

この検査の欠点は、粘膜の萎縮と無関係な、
未分化型胃がんや進行がんが見落とされる可能性があることで、
陰性でも、バリウム検査は必要ではないかといわれています。

④はピロリ菌が胃の中にいるかどうかを判定するものです。
先ほどもいいましたが、
ピロリ菌がいると慢性胃炎、萎縮性胃炎をきたします。
その結果、胃がんの発生率が上がるとされています。

ピロリ菌感染自体が、がんの発生と関係あることが分かっており、
この検査が陽性の方も、胃カメラ検査を受け、
さらには除菌の治療を行います。

⑤腫瘍マーカーは、最近健診でも行われていますが、
残念ながら、あまりあてになりません。
がんがあっても必ずしも上昇しませんし、
早期のものはやはり陽性率が低いです。

だから、これが正常であっても、絶対安心できません。
必ずほかの検査と組み合わせて受けてください。
高値であれば放置せず、医師とよく相談して検査しましょう。

結局、胃がんの拾い上げを精度高くするには、
1年に1度、胃カメラを受けていただくのが何よりです。
以前健診で引っかかり、胃カメラを受けられた方は、
これからも胃カメラで検査されるのが良いでしょう。

・・・お疲れ様です。長くなってすいません。

次に、大腸がんの検診ですが、
大腸がん健診は便潜血がもっとも多く、
ほかにはあまりありません。

便潜血検査は単純です。
便に血が混じっているかどうかを調べ、
陽性であれば大腸カメラを行います。

「私は以前から痔があり、良く出血しますから」
「じゃ、様子を見ましょう」

このような会話は成立しません。
では、痔の方は大腸がんができて出血していても
検査で拾い上げることができなくなります。

痔であってもなくても、
便潜血陽性であれば、必ず大腸カメラを受けてください。


いろいろ書きましたが、
今のところ一番精度の高い検査は内視鏡検査です。
ただ、全員がいきなり内視鏡をうけるというのは、
医療機関の負担も多く、医療財政上も困難です。

それで、どのような人を内視鏡検査をすれば、
効率よく病気(がん)が見つかるかというところに
健診の主眼が置かれています。

最初にも書きましたが、健診で異常を指摘されたら
一度専門家の意見をお聞きになってください。
その上で更なる検査を受けるかどうかは、
患者さん自身が決定していただけます。