京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院
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痛風と積雪

2012年2月10日

寒い毎日が続いておりますが、
体調はいかがでしょうか?

寒さは続いてますが、
インフルエンザはピークを越えたようです。
発熱者専用診察室に入いりきれないほどの患者さんは、
今週からはおられなくなりました。

ところで、
皆さんは痛風という病気をご存知でしょうか?
血液中の尿酸の値が高くなり、
足の関節、特に親指の付け根で痛みを起こすものです。

当院にも患者様がお見えになります。
痛風発作はとても痛くて歩くことさえままなりません。
発作が起こってしまえばとにかく痛み止めでしのぎます。

しかしこの病気、不思議なことに、
発作時に必ずしも尿酸の値が高いとは限りません。
また発作時に尿酸値を下げるお薬を出すと、
痛みがひどくなるといわれています。

それはどうしてなのでしょうか。

それを説明するのに、
屋根に降り積もった雪を例に考えることができます。

血清尿酸値7mg/dl以上の状態を、
真冬にしんしんと雪が降っている光景に例えます。
音もなく屋根の上に雪が積もっていっている状態です。

やがて、積もった雪は分厚くなり、屋根の上から崩落します。
この瞬間が、痛風では発作が起きた時にあたります。
実際体の中では、蓄積された尿酸塩結晶が関節腔に脱落し、
そこで炎症が起きてしまい、強い痛みをひき起こしています。

つまり、発作は長年の尿酸の蓄積によるものなので、
瞬間的に数値が悪化して起こるものではありません。
それなので発作のときに検査しても、
数値はたいしたことがない、あるいは正常のこともあるのです。

また発作の時に急激に尿酸値を下げると、
逆に痛みが出る状態を説明するには、
尿酸を下げるお薬を内服することにより、
天気が急に回復させ、太陽が照りつけるようなものとイメージして下さい。
そうなると逆に、屋根の雪は溶けはじめ、やはり崩落します。

発作のときは逆に尿酸値は下げてはいけないのです。

したがって痛風の治療は、
雪が降らない程度に天気を回復させ、
(つまり少しずつ尿酸値を下げて)、
屋根の雪が崩落しないように
少しずつ溶かしていかなくてはなりません。

痛風発作のない時期でも、あまり急激な尿酸値の低下は
発作を誘発することがあります。
やはりゆっくりと数値を下げていくことになります。

痛風発作のある方では6mg/dl以下でコントローするようにと、
ガイドラインには書いてあります。
参考にしてみてください。


このところの寒波で、連日のように東北や北陸、北海道での
大雪のニュースが流れています。

屋根に分厚く積もった雪を、
雪がしんしんと降り積もる中雪下ろしをされる姿は、
とても大変で気の毒に思います。

わたしはいつも豪雪地帯の映像を見ると、
痛風発作を思い浮かべてしまいます。
私は痛風にはなったことないのですが・・・。

もしこのブログを読んだあとに、屋根から落ちる雪を見て、
足の親指の関節に違和感を感じる方がおられましたら、
一度尿酸の値を測ってみてはいかがでしょうか!