京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院
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大腸カメラを受けると、大腸がんが減る?②

2012年3月21日

日中は陽射しがあると春らしくなって来ましたね。
今はインフルエンザも少なくなり、
花粉症の患者様が多くなってきました。

皆さんの、お鼻、お目目の調子はいかがでしょうか?
花粉症のお薬もいいのが出ていますので、
悩んでいる方はご相談下さい。

今回は、2つ前のブログの続きです。

前回はこのようなことを書いていました。

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(抜粋)
50歳を過ぎたら、1度は大腸検査を受けておきましょう。

また、怖いことに、
検査をする医師側のスキルでも差が出ることがいわれています!

検査の件数の20%以上にポリープを発見する医師、
つまり、非常に良く大腸を観察する医師に検査を受けた時と
ポリープの発見率が20%以下の医師に検査を受けた時では、
検査から10年後のがんの発生率に差が出るというのです。

これは大きな問題です!

私も、当院で行った内視鏡検査をも一度見直し、
自分自身がどれくらいのポリープ発見率なのか調べてみようと思います。
その結果は次回のブログまでの宿題とさせていいただきます。

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・・・ということで、調べてみました。

当院で私が大腸カメラを行ったのはまだ49件しかありません。
結果を出すにはまだまだ少ないのですが、
参考程度に読み流してください。

49件のうち、S状結腸や直腸のみを調べた3件と、
挿入困難で途中で中止した1件を除く45件で調査しました。

小さいものも含めポリープが見つかったのは、
45件中24件、53%でした。
(数が少ないのですが今のところ20%は越えていました)

ポリープといってもいろいろなものが含まれます。
大きく分けると腫瘍性のもの、非腫瘍性のものがあります。

腫瘍性というのは、大きくなったり、
場合によってはがんになる可能性を持っているものをいいます。
もちろんがんになるのは全体のごく一部です。

そしてこの24件は腫瘍性のものだけを取り出した数です。
ポリープの表面の模様を観察する拡大NBI観察か、
生検による組織検査で判定しております。

ということで、当院で行った少数の結果ですが、
放置すると場合によっては大きくなったり、
最悪がんになったりするポリープが、
全体の半数以上の方に見られています。

この24件のうち、実際がんと診断されたのは2件でした。
1件は進行がんで、腹腔鏡下直腸切除術を受けられました。
もう1件はポリープの中にがん細胞が混じっていたもので、
非常に初期の大腸がんでした。内視鏡で切除されました。

2件とも、症状はありませんでした。
1件はたまたま測定した腫瘍マーカーが高値でした。
もう1件は少し以前に大腸ポリープ切除歴のある方でした。

この方々は検査を受けなければ、
もっと悪くなるまで気づかれず放置されていたと思われます。

次に年齢別に調べてみました。

20歳代から40歳代で大腸カメラを受けられた11人中、
ポリープは1人も見つかりませんでした。

逆に50歳以上では34人中24人にポリープを認めました。
(50歳代は9人中5人ポリープあり、60歳代では10人中6人、
同様に70歳代8人中7人、80歳代7人中6人でした)

この結果を見ると、
「50歳を過ぎたら、1度は大腸検査を受けておきましょう。」
ということと、大体一致しすると思われます。

またポリープのあった24件のうち、
内視鏡治療や手術を受けられたのは8件でした。
3人に1人は切除が必要でしたが、
それ以外の人はポリープが5mm以下のなどの理由で
経過観察となっております。

ポリープが見つかったら即切除ではないのですね。
(もちろん切除されてもかまいません)

ポリープの治療ですが、主には内視鏡で行います。
ポリープの性状によってはESDといった先進医療や、
開腹あるいは腹腔鏡下の切除術が必要となります。

当院ではポリープの性状や患者様の状況でなどを考慮し、
近くの信頼できる病院から、日赤などの基幹病院、大学病院まで、
適切な病院にご紹介しております。

長くなりましたが、
当院の大腸ポリープの現状をお伝えしました。

大腸がんの場合、がんになる前や初期のうちに
内視鏡治療をすればがんは克服できる可能性があります。

初期のポリープでは症状は出ません。
便潜血も実は当てにはなりません。

症状がなくても1度、できれば2度、大腸カメラを受けておくと、
将来できているはずのがんを予防できるかもしれません!