医療法人博侑会 吉岡医院

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ランニングハイ

2013年10月28日

最近、GPS腕時計を購入しました。

GPSとは、
グローバル・ポジショニング・システム
(Global Positioning System, 全地球測位網)
元来は米国の軍事用のシステムだったそうです。

カーナビ、スマートフォンなどはおなじみですが、
最近は腕時計にもGPS機能付きのものがあり、
マラソンや自転車のトレーニングで使われています。

私はジョギングをやっていますが、
この機能があれば、自分の走行距離や速度、
1㎞ごとのラップなどを自動的に取得してくれます。

またそれをパソコンにつなぐと、
地図上に走行した軌跡、通過時間が示され、
時速、標高などがグラフで表現されます。

それだけできて大きさは普通の腕時計、
重さも40g程で、走っていていも気になりません。
なんと素晴らしい道具なんでしょう。
世の中どんどん便利になっていきます。

その反面、
「この距離でこの時間、ならば1㎞あたり○分○秒・・・」
といった私の小学校低学年レベルの計算能力は、
ますます実践の機会を失い、もはや瀕死の状況です。


“10月27日午前、秋の鴨川を走る”

ランデブー状態で去って行った台風のあと、
久しぶりの高い秋の空が顔を出しました。
川沿いの木々も少し色づき始めています。

連日の雨のため水量はいつもの2倍ほどあり、
普段はちょろちょろとおとなしい鴨川が、
少しゆったりと、たくましく見えます。

腕時計がGPSで現在地を捕捉したのを確認し、
スタートボタンを押し、走り出しました。

今週末のフルマラソンに向け、
20kmを1kmあたり5分前後の、
私にはかなり早めのペースを目標にしました。

休日の鴨川にはたくさんの人が集まっています。
私と同じようにジョギングする人、
犬と一緒に散歩する家族連れなどなど。

途中、3人組の大学生ぐらいの男女が、
竹竿の先にUFOの模型をぶら下げ、
鴨川の上流をバックに写真撮影をしていました。

こんな古典的な撮影をして、
いったい何に使うのでしょうか?
案外それらしく映っているのでしょうか?

立ち止まって聞いてみたくなりましたが、
私もGPSに監視されている身ですから、
とても気になりましたがそのまま走り去りました。

もう少し上流に行くと、
今度は珍しく釣りをしている人がいました。
初老の男性です。

何かを釣り上げているようです。
竿が、「松方弘樹カジキマグロを釣る」ぐらいの勢いで、
大きくしなっています。

男性も体を後方に傾け引っ張っていますが、
驚くことに水面には全く動きがありません。
波紋すらないのです。

対岸からも立ち止まって見物人がいましたが、
どう考えても鴨川の深さで、松方弘樹で、
魚影が見えないほどの大物で、のはずがありません。

あるいは巨大なすっぽんと綱引きでしょうか?*

事の顛末を見届けたい強い欲望にかられましたが、
私も先を急いでいるのです。
きっと地球を釣り上げるのだろう、ということにしました。

いろいろな誘惑と戦ながら、
それを楽しみながらジョギングは続きます。
暑くもなく寒くもなく風も穏やかで何の障害もありません。

時計は1kmを走るごとにピピッと小さな音を立て、
その区間のラップタイムを知らせます。
1㎞5分と少し、私にとっては上々のペースです。

そのように走り続けていると、
やがて一定の筋肉の動きはリズムを生み出し、
すべてがオートマチックになるとき、
意識が軽い陶酔状態に突入します。

肉体と精神が乖離し、
走っていることが息をしているのと同じような、
全く負担を感じることのない無意識の動作になります。

聞こえるのは耳元の風の音だけになり、
止まっている自分の周りを風景が流れていくような、
そんな錯覚に陥ります。

現在・過去・未来・・・、
自分の世界だけに意識が集約されます。
こんな時に何か考え事をしていると、
とってもいいアイディアが浮かんだりします。

この感覚はその日の体調により、
長かったり短かったり、
訪れたり訪れなかったりします。

その後には、
息を切らせて重い体を走らせている、
普段の自分に戻るのです。


府立医大病院の前を下り、
ゴールの丸太町橋が見えてきました。

遠くで小さな子供がよたよたと走っています。
なかなか器用に走るなと思っていると、
その子は意志を持ってこちらにかけてくるように見えます。

よく見るとそれは私の娘でした。
遠くからよくわかったなと感心しました。

ゴールまでもう少し距離がありましたが、
子供を振り切るわけには行きません。
立ち止まり子供を抱き上げました。

ストップウォッチを止め距離を確かめました。
20.06㎞。
ありがとうGPS腕時計、君の機能は素晴らしい。

つまり、ここがゴールだったようです。

吉岡医院 吉岡幹博

*参考:7月7日ブログ「鴨川と亀」
https://www.yoshiokaclinic.com/blog/2013/07/post-100-556215.html