医療法人博侑会 吉岡医院

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内痔核に対するジオン注による痔核硬化療法(四段階注射法、ALTA療法)

2014年3月17日

今回は内痔核治療で最近よく行われている、
痔核硬化療法をご紹介いたします。

痔核硬化療法とは、
内痔核の腫れているところに薬剤を注射し、
局所の炎症を起こさせて固めてしまう治療法のことです。

過去にも注射による痔核硬化療法は存在しましたが、
効果は一時的で再発も多くみられました。
しかし現在行われている硬化療法は四段階注射法と呼ばれ、
とても治療効果が高く、
手術に匹敵すると言われております。

もともと内痔核というのは、
長年の便秘や下痢、排便習慣などで、
直腸の出口にある毛細血管(内痔静脈叢)が、
拡張したり蛇行したりして起こる静脈瘤です。

現在でも手術で痔を切ってしまうのが一般的です。
拡張した静脈瘤の部分=痔核を含めて、
肛門の皮膚から、直腸粘膜を内側に向かって剥離し、
最後に流入する動脈(上直腸動脈)を糸でくくって、
血流を遮断し切除します。(結紮切除法)

内痔核の硬化療法では、痔核は切除せず、
硬化剤の注射により動脈をつぶして血流を遮断し、
腫れている部分にも注射し、固めてしまう治療です。

痔核硬化療法の中でも効果の高い四段階注射法は、
ジオン注射療法やALTA(アルタ)療法とも呼ばれますが、
すべて同じものをさします。

「四段階注射法」は、
痔核の注射を4つの場所に分けて打つやり方から
そのように呼ばれています。

「ALTA療法」という呼び方は、注入する薬剤の成分が、
硫酸アルミニウムカリウム水和物・タンニン酸というもので、
アルミニウムとタンニン酸の頭文字をとって、
「ALTA」と呼ばれています。

また、「ジオン注射療法」は、
その薬剤の製品名が「ジオン注」というところから来ています。
下の写真は実際に使用するものです。

すべて同じ内容を違った呼び方をしているだけなのです。
ちょっと紛らわしいですね。

では四段階注射療法(以下ALTA療法)の方法です。
下の図のように1つの痔核を4つの場所に分けて考えます。
実際はこのような部屋にはわかれていないので、
大体の場所をイメージします。

肛門鏡という筒型の器具を肛門から挿入し、
内痔核を観察します。

ALTA専用
「Z式肛門鏡」

ALTA療法の時は通常麻酔を必要としませんが、
肛門が狭く、肛門鏡がどうしても入りにくいときや、
痛みを伴う時には局所麻酔の注射を行います。

この肛門鏡を直腸に挿入したのち、
先端の部分を引き抜き、
筒のような状態で内痔核を観察します。

そして直腸の奥から、
第一段階(下の図で青色の部分)、
第二段階(下の図で緑色の部分)
第三段階(下の図で橙色の部分)
第四段階(下の図でピンク色の部分)
と順番に注射していきます。

これは第一段階の図ですが、
第一段階の目的は、主に痔核に流入する血管をつぶし、
痔核への血流を遮断することです。

あくまでもイメージですが、
痔にアロンアルファを注射していると思ってください。
(もちろん瞬間に固まることはないのですが)

血管は固まり血液の流入がストップし、
第二、第三、第四段階も注射することで、
その下の腫れていた粘膜も収縮し、
接着剤のような作用で直腸壁に張り付くのです。

それぞれの場所に注射する量は、
痔核の大きさに合わせある程度決まっています。
ひとつの痔核に対し4か所の注射を順に行います。

治療中は肛門鏡の圧迫感や不快感はありますが、
注射による痛みはありません。

逆に痛みがあるときは、
注射の部位が適切でない可能性がありますので、
その場で『痛い』と医師に伝えましょう。

このように4か所注射したのち、
注射した薬液が痔核全体にまんべんなく広がるように、
指でマッサージを行います。

この操作は患者様にかなりの不快感を与えます。
ここが一番気持ち悪いとおっしゃる方も多いです。

以上で一つの痔核に対する治療が終了します。
複数の痔核がある場合は繰り返し行います。
通常は2か所から3か所に行うことが多いです。

注射直後より動脈からの血液の供給が減るのと、
硬化剤の作用で痔核が縮小します。
下の図のように本来の位置で小さくしぼんで治ります。

これで終了です。
翌日にはそれまで腫れていた痔核が小さくなり、
ずいぶんすっきりすることでしょう。

大きな病院では1泊入院、
私たちと同じような診療所で行う場合は、
日帰りで行われていることが多いようです。

ALTA療法は従来の結紮切除の手術と比較し、
入院期間が短いことや、
術後の痛みが少ないことがメリットです。

逆にデメリットしては、
注射の部位、量が適切でなかった場合、
効果が不十分で再発することがあります。

また内痔核すべてに治療の適応があるわけではなく、
大きいもの(4度内痔核)や外痔核のあるものは、
治しきれないこともあります。

そのため、それぞれの患者様毎の痔核の状況で、
担当医と十分相談し、合併症を含めた説明を受けたうえで、
お決めになることをお勧めいたします。

この治療が保険診療として始まってから、
約10年が経過しました。
最近では手術と同様に多くの患者様に行われており、
手術と遜色のない治療成績が報告されています。

しかしながら一般の患者様には、
どのような治療か、手術とどこが異なるのか、
今一つわかりづらいのではないかと思います。

つたない解説でしたが、
少しでも治療のイメージがわき、
今後の治療の参考になれば幸いです。

京都市上京区 肛門科
吉岡医院 吉岡幹博