京都市上京区の胃カメラ・大腸カメラ・婦人科・一般内科・小児科 吉岡医院

医療法人博侑会 吉岡医院
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大腸がんの予防について

2016年7月17日

小雨模様のあいにくのお天気でしたが、
今年も艶やかに祇園祭が行われました。

今年は宵山、山鉾巡行が三連休と重なり、
日程的には恵まれていましたね。
例年より盛り上がっていたと思います。

蒸し暑い毎日出が続き、
梅雨明けが待たれる今日この頃、
皆様お変わりござませんか?


今回は、
大腸がんの予防についてのお話です。

近年男性女性に問わず、
大腸がんの患者さんは増え続けており、
臓器別のがん死亡率でも上位を占めています。

 

もともと日本人には胃がんが多く、
大腸がんは欧米人に多いがんでした。
その大腸がんが日本人で増えているのです。

理由は皆さんもお分かりだと思いますが、
『食生活の欧米化』です。
多分そうだろうな、と納得できます。

それでは大腸がんを予防するには、
どうすれば良いのでしょうか?
個人レベルでできることはあるのでしょうか?

一般的にがんの予防には、
1次予防、2次予防、3次予防と
大きく分けて3つの段階に分けられます。

1次予防とは、
がんになる危険性のある
食事や環境を回避するものです。

2次予防とは、
健診によりがんを早期に
発見しようというもので、

また3次予防とは、
がんの治療後に新たながんの発生を、
予防しようとするものです。

従って今回のお話しは、
大腸がんの1次予防についてです。

今までは、大腸がんの増加は
日本人の食生活の欧米化にともなうことなので、
個人ではどうしようもないと思っていました。

でもこれまでの研究で、
大腸がんの危険因子と予防因子が、
科学的根拠として存在することが分かりました。

1、食物および嗜好品

○赤身肉と加工肉
明らかに大腸がんのリスクを高める、
報告がされています。

○脂質
大規模な臨床試験では、
低脂肪食による大腸がんを抑える効果は、
なかったそうです。

しかしいくつかの報告では、
ポリープの発生を抑えたとの、
報告があります。

○繊維、野菜および果物
食物繊維では、
明らかにがんを抑える効果ある報告があり、
野菜、果物では傾向があるとのことです。

○牛乳
発がんリスクが低下します。
毎日250g以上飲むと、
より効果的だということです。

○カルシウム
カルシウム高摂取群は、
低摂取群に対し、大腸ポリープの発生が、
抑えられるとのことです。

 

○アルコール
飲酒は大腸がんを増加させると、
いくつかの研究で明らかになっています。

○喫煙
大腸がんの発生を1.18倍に、
上昇させるとそうです。

2.運動と肥満

○運動
ほとんどの研究で、
大腸がんの発生を抑制すると、
報告されています。

○肥満
BMI(体重kg÷身長m÷身長m)が、
30以上の人は25以下の人に比べ、
発がんリスクが1.19倍に上昇するそうです。

以上より、大腸がんに対する危険因子は、
赤身肉、加工肉、脂質、アルコール、
喫煙、肥満となり、

大腸がんを予防する因子では、
繊維、野菜、果物、牛乳、カルシウム、
そして運動ということになります。

皆さんはどう思われましたか?

危険因子は欧米人によく見られる要因で、
これが『食生活の欧米化』という言葉に、
集約されているのでしょう。

脂質、アルコール、肥満、運動などは、
メタボリックシンドロームとも、
大きく関係してきます。

やはり適切な食生活、生活習慣を保つことが、
大腸がんのみならず、他の多くのがんや、
生活習慣病の予防につながると思いました。

増え続けている大腸がん、
まずはかからないよう、
1次予防取り組んでみてはいかがでしょうか?

また一番大切なのは2次予防です。
これについては今度の機会にお話しいたします。
長文読んで下さりありがとうございました。

それでは良い連休をお過ごしください。

 

参考文献
日本消化器病学会雑誌 2016:113:1168-1175
総説 大腸癌の予防